2010年6月

3件の投稿


しばらくネタバレが続くのじゃ。
今日は昔の探偵部について話すとするかのう。

探偵部室

探偵部を作ったのはもちろん熾永 豊じゃの。あの当時……もう 100 年以上前にもなるが……魔というものはそう特別なものではなかったのじゃ。いや、それはちょっと語弊があるのう。魔というようなものがあったとしても、不思議に思うものが少なかった……という表現が正しいかのう。
つまりじゃな、摩訶不思議なことが起きた所でそれは受け入れられておったのじゃ。その理由は簡単じゃ、あの当時は科学も魔もそう境はなかったからのう。それに今よりも科学が浸透しておらなんだ。
じゃが今は違う。何か不思議なことがあればそれを疑問に思い、それが非科学的なものであれば怪しむという人間の方が圧倒的に多いじゃろう。じゃから、魔というものは使えなくなったのじゃな。
いや、それを利用して、魔が隠されたと言っても良いかもしれぬ。

探偵部の活動を禁止した学園長も、ひょっとしたら魔を否定したのではなくて、魔を隠したいからそうしたのかもしれぬのう。

熾永 豊は自分の過ちを隠すためと、光人を人間として生きさせるために探偵部を作ったわけじゃが、この汐碕の地を魑魅魍魎から守るという役目も充分果たしておったぞよ。
熾永は学園内におる霊感の強いものを集めて、訓練していたようじゃの。そうして魔が使える生徒ができはじめ、彼らはある者は官僚へ、ある者は軍人へとなっていったのう。じゃが残念ながらあまり良い一生は送らなかったと記憶しておる。国に利用された者もおれば、逆に迫害された者もおる。子孫を残すこともなく、の。
つくづく、熾永という女は不幸な人間を作りおる。困ったものじゃ。

この辺りの話は、大正少年少女探偵奇譚として聖天翔学園の図書館に眠っておるはずじゃ。大正時代にな、この汐碕市を恐怖のどん底に陥れたという、怪人二十……おっと、また執事が呼んでおる。まったく……今日の話はここまでじゃ。


下界では暑い日が続くようになったのう。もうすぐ梅雨じゃな。我が汐碕市はまだまだ涼しいぞよ? 梅雨はないのじゃが、湿気は残念ながら一年を通して多めじゃ。雲の中にあることもおおいからのう、仕方のないことじゃな。

さて、今日はちょっと外の世界に目を向けてみるぞよ?
実は宙に浮いている島というのはこの汐碕市だけではないのじゃ。この地球上にはいくつかの浮いている島があるのじゃ。まだ未発見のもあるのではないかと言われておる。
じゃがほとんどがものすごく小さくて人が住めるようなものではないのじゃな。人が住んでおるような大きな浮島は現在確認されておるだけで三つしかないのじゃ。

どの浮島も未だに浮いている仕組みは謎じゃ。最近では「気圧の層説」というものも提唱されておる。実はどの浮島も同じ高度に浮いておるのじゃ! そしてそれを境に気圧の層ができておるのじゃ。浮島のあるところより上と下でくっきりと気圧が異なっておるのじゃな。浮島はこの層の境目に浮いていることが解っておる。
なぜ気圧がだんだんと薄くならずにくっきりと別れておるのかは不明じゃが、汐碕市が浮いているのと何か関係があるのではないかと言われておる。じゃが浮島が何らかの気圧の変化を起こしているのではないかと疑っておる科学者もおるようじゃ。
そこで科学者たちが疑っておるのが、絶対に晴れぬ雲じゃ。天気図とは無関係に漂い続ける台風のような雲の塊がいくつか観測されておる。あれらの雲も中心には汐碕市のような浮島があるのではないかと推測されておるのじゃ! この雲の名前を竜の……おっと執事が呼んでおる。今日の話はここまでじゃ。


次回作についてちょこっとだけ露出じゃ。
舞台の一つである白初(しらそめ)学園本部棟のレイアウトじゃ。

この学校は古くからメイド科があることで有名じゃな。
我が汐碕市が誇る名門校の一つじゃ。下世話な話をすると「知の聖天翔、金の白初」と言ってな、金持ちは白初の方が多いのじゃ。おっと市長がそんなこと口にするものではないな。オホン。
世界的には「翼をください」が終わったあとの世界になっておる。つまり稲置も熾永もこの街にはおらぬ。もっとも……それで安心していいかは解らぬがの。あの稲置のことじゃ、どこかで事の成り行きを見張っておるのじゃろう。まったくムカつくヤツじゃ。
聖天翔学院はと言えば、今は光人たちが生徒会役員を勤めておる。文字通り天使の学園となったわけじゃな。まぁ良い、これからが本当の試練の始まりじゃ。妾を選ぶか、稲置を選ぶか、やすらを選ぶか……それは今考えても詮無いことじゃ。

今後はネタバレとともに、続編のデータも少しずつ公開していく予定じゃ。

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