2010年9月

4件の投稿

急に涼しくなったのう。
寒暖の差が激しいと体力が奪われやすいのじゃ。
風邪など引かぬように気をつけるのじゃぞ。引き始めたと思ったらビタミンCを摂るのがよいのじゃ。じゃが疲れているときは逆に風邪を引いてゆっくり休んだ方がよいときもあるぞよ。夏の暑さにやられておるなら充分休養することも重要じゃ!

橘瑠璃火

今日は汐碕市の簡単な歴史の話をするのじゃ。
汐碕市は昔から人が住んでおったのじゃが、考古学的にわかっておるのは奈良時代くらいまでじゃ。それ以前に人が住んでおった形跡はないのじゃ。つまり縄文・弥生・古墳・飛鳥時代には汐碕市はずっと無人じゃったということじゃな。もっともそれは発見できていないだけなのかもしれぬがのう。
それはともかく、奈良時代に橘氏がこの汐碕市を拝領したのが始まりとされておってな、それ以降、明治維新までこの汐碕の土地は橘氏のものだったのじゃ。明治政府が出来て廃藩置県などが行われたときに橘氏はこの汐碕の地を日本政府に譲渡したのじゃな。
なぜ橘氏がこの汐碕の地を拝領できたかというとじゃな、これは憶測じゃが、橘氏が唯一、この浮いている汐碕に来ることが出来たということじゃろうのう。つまり橘氏は昔から何らかの術が使えたと言うことじゃ。
ところで妾の名前は「ルイーゼ・アンナ・フォン・ホラント」じゃ。どこにも橘という名前は入っておらぬ。実は橘氏の嫡流(本流)である橘家は理由があって人前に出ることが出来ぬのじゃ。そのため、所領の管理は橘家の忠実な部下であったホラント家が執り行っておったのじゃ。ホラント家はいわば橘家の表の顔といったところかのう。
これはちょうど守護と守護代のような関係じゃな。守護が橘家で、守護代がホラント家ということじゃ。

現在でも橘氏嫡流、橘家のお屋敷がこの汐碕市にはあるぞよ。それと支流で長いこと神官を務めておった同じ橘を名乗る家も神社を構えておる。橘叢雲祇(たちばなむらくもずみ)神社じゃな。まぁ神社なのにそこの神主の娘は天使じゃがな。希有なこともあるものじゃ。

ところで橘家とホラント家──守護と守護代──のような関係はなにも日本だけではないのじゃ。ヨーロッパにも大公とその執政をしていたのが伯爵という国があってな、確か名前をカリオ……おっとまた執事が呼んでおるようじゃ。今日の話はここまでじゃ。ん? 安心するのじゃ、今は橘家とホラント家は仲が良いぞよ? 今は、な。


急に涼しくなったのう。
街では秋物がようやく売れ始めたようじゃ。そうそう、我が汐碕市ではハロウィン・イベントも目白押しじゃ。それに来週の 22 日は中秋の名月じゃな。汐碕市は雲の上にある故、月もきれいに見えるぞよ?

ペリドット

さてと、稲置と出会った時の続きであったな。
彼奴は妾に警告しにわざわざ話しかけてきたのじゃが、そのときに使い魔を一匹連れておったのじゃ。ありふれた灰色の猫じゃな。もっとも彼奴の使い魔の事じゃ、秘められた力を持ってはおろうがの。
そしてその使い魔を見たとき、妾はピンと来たのじゃ。そして稲置の、天野光人に近付くための周到なまでの仕掛けにようやく気付いたというわけじゃ。
まったく、恐ろしいことじゃ。
結局の所、この街から稲置の脅威は過ぎ去っておらぬと言うことじゃ。
天野光人には天野光人を欲しているそれぞれの勢力が集まってしまっているのじゃ。二階堂に朝日奈に……。

ん? 妾の手の者がおらぬじゃと? 心配するでない、妾が信頼しておる人間が一人、天野光人のそばにはおる。じゃがその前に、我がホラント家とこの土地、汐碕市との関係を説明せねばならぬな。それは次回話すとするのじゃ。

気をつけなければならぬのは、稲置がまだこの街に仕掛けをしている可能性があると言うことなのじゃ。市長としてそれは断固見つけ出し、これ以上稲置の思い通りに事が進まぬようにせねばならぬのじゃ……。
あぁ、憂鬱じゃ……。


世界中で異常気象が続いておるのう。
汐碕市も耐えられぬということはないが、9 月に入っても夏並みの気温が続いておる。
皆は体調など崩しておらぬか?
これだけ暑い日が続くと、夏バテもそうとうつらそうなのじゃ。

にっくきあのやろ

おっと、そうじゃったな、前回の続きのはなしであったな。
この話は「翼をください」とその次回作両方のネタバレの話題じゃ。
賢者会議の話は前回したと思うのじゃが、その席に、なんとあの憎き稲置涼子がおったのじゃ! いけしゃぁしゃぁと椅子に座ってすましておったわ。そもそも彼奴は人間ではない。人間ではない者が賢者会議に出ること自体がおかしいのじゃ!
会議そのものがそれはそれは緊迫しておったぞ。
誰しもがあの場で彼奴を殺したいと思ったことじゃろうのう。
それほどまでに彼奴は彼奴の事情を知る人間からは憎まれておるのじゃ。じゃが残念ながら、彼奴に賛同する人間もおるのじゃ。彼奴の破壊的な精神に酔い、彼奴の渾沌の美しさに魅入られてしまったのじゃ。

それに、妾たち賢者どうしでは戦ってはならぬという協定があるのじゃ。それはな、妾たちの力は強力すぎるからじゃ。妾たちが本気で殺し合いをしたら……想像するだけでも恐ろしいのじゃ。じゃから、たとえ稲置が妾の手の届く場所にいたとしても、手を出すことは許されぬのじゃ。

しかしあろう事か、彼奴は妾に話しかけて来おったのじゃ。なんと言ったと思う? 「汐碕にいないからといって油断するな」と、妾に警告してきたのじゃ。妾は何かあると思い、汐碕市の中に、彼奴の息のかかった者がいないか探したのじゃ。
血眼になるという言葉が相応しいくらいに、じゃ。妾は必死じゃった。そしてついに、ついに見つけてしまったのじゃ、彼奴の息のかかった者がおると言うことを。いつからかそうであったのか、妾は解らぬ。解らぬが、しかし事もあろうに、其奴はあの天野光人に近い場所におるのじゃ。

二階堂、二階堂静香じゃ。彼奴は稲置涼子の息がかかっておる。しかも相変わらず光人に近い。そもそも天翔学園の生徒会と図書委員会は切っても切れぬ仲なのじゃ。図書委員会の前身は生徒会の記録(書記)・監査部門が独立してできあがったのじゃ。かつては知を管理する者として、生徒会は校内の図書に関しても占有しておったのじゃ。

あぁ、心配じゃ……光人のそばに稲置の部下がいようとは……何か胸騒ぎがするのじゃ。そしてその胸騒ぎは妾の気のせいだけではなかったのじゃ!
おっと、また執事が呼んでおる。続きはまた次回に話すことにするのじゃ。

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