2010年

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今週の日曜日は参院選じゃったのう。
なかなかの混迷ぶりで、思わず笑いがこみ上げてしまうが、皆はちゃんと投票に行ったかな? 興味がなくとも、自分の生活や将来に関わることじゃ、ムダと思っても行くことに意義があると妾は思っておる。

さて、選挙の話題ついでに汐碕市と妾の関係を説明するぞよ。
妾は選挙で選ばれたりはせん。いわゆる名誉市長みたいなものでな、ずっと勤めておるのじゃ。任期もないし選挙もないが、市政に口出しすることはできんようになっておる。ま、もともとこの汐碕市は橘氏という貴族の土地でな、ホラント家はそこの出なのじゃ。じゃから市長に妾がついていても、特に文句は出なかったのじゃ。
でじゃ、それとは別に市議会があるわけじゃな。こちらは選挙で選ばれるのじゃ。皆が住んでおる所と同じじゃな。

このような仕組みじゃからして、妾は別に市から給料をもらっておらんのじゃ。我がホラント家はヨーロッパやアフリカ、インド、中央アメリカなどに土地を持っておってな、銀行やホテルなどを経営しておるからして、給料は不要なのじゃ、ふっふっふ。それに市財政が悪化したときなどは、よく妾が助けておる。じゃから市民たちも妾を市長にしておくことに賛成してくれているのじゃ。
市議会もそのことを充分解って、市を運営しておるというわけなのじゃ。

ま、汐碕市は妾というパトロンがいる、比較的恵まれた街なのかもしれぬな。
ちなみに妾は、市長になって今年でひゃくにじゅう……おっとまた執事が呼んでおる。最近は面会人が多くてのう、この話はこのへんで終わりにしておくのじゃ。


一週空いてしまったのう。
すまぬすまぬ。

さて、今回はちと天使の話をするぞよ?
いあ、あの憎っくき稲置にも当てはまる話じゃがな。
あやつらは当然人間ではない。じゃからいろいろと人間と違う所があるのじゃ。まぁそれは当然じゃの。魔が人間よりも容易に使えたり、人の心が読めたり──いや、これはちょっと語弊があるな。人の欲するものがわかったり──という方が正確じゃな。
あとは寿命がなかったり、通常の武器では傷がつかなかったりといろいろじゃ。じゃがそんなことは誰しもが想像がつくことじゃな。天使と聞いて、人間と同じだったらその方が夢がないというものじゃ。

ぐっすりやすら

今回は天使たちの意外な人間との違いを教えるぞよ?
それはな、天使は寝なくて良いのじゃ。ふふふ、まぁこれも当たり前のことじゃな。あの稲置も熾永も睡眠というものは不要じゃ。そして、光人たちもな。当然じゃな。彼奴らの身体の仕組みがすでに動物ではないからの。
じゃが光人たちはまだ人間の常識が染みついておる。自然と眠くなり、人間と同じ体内時計を有してしまっているようじゃ。水帆と水翼くらいじゃのう、あの中で睡眠を取らなくて良いのを知っておるのは。じゃがあの二人はそもそも寝ることが好きなようじゃ。
やすらは少しその自覚が芽生えはじめているのじゃが……彼奴も睡眠が好きな性格からして、当分は睡眠のある生活をするじゃろうのう。

ちなみに人間の場合、人生の 1/3 が睡眠と言われておる。60 年生きれば、そのうちの 20 年は寝ておるわけじゃ。そうやってみるとなんとも睡眠によって人生を損しているように見えるが、睡眠は人生にとっても重要な体験じゃ。決して無駄なことはないのじゃ。

ところで妾じゃが、妾も睡眠が必要じゃ。
それはつまり妾も元は人間じゃからなのじゃ。どうあがいても、天使や悪魔は超えられぬのかもしれぬのう。


しばらくネタバレが続くのじゃ。
今日は昔の探偵部について話すとするかのう。

探偵部室

探偵部を作ったのはもちろん熾永 豊じゃの。あの当時……もう 100 年以上前にもなるが……魔というものはそう特別なものではなかったのじゃ。いや、それはちょっと語弊があるのう。魔というようなものがあったとしても、不思議に思うものが少なかった……という表現が正しいかのう。
つまりじゃな、摩訶不思議なことが起きた所でそれは受け入れられておったのじゃ。その理由は簡単じゃ、あの当時は科学も魔もそう境はなかったからのう。それに今よりも科学が浸透しておらなんだ。
じゃが今は違う。何か不思議なことがあればそれを疑問に思い、それが非科学的なものであれば怪しむという人間の方が圧倒的に多いじゃろう。じゃから、魔というものは使えなくなったのじゃな。
いや、それを利用して、魔が隠されたと言っても良いかもしれぬ。

探偵部の活動を禁止した学園長も、ひょっとしたら魔を否定したのではなくて、魔を隠したいからそうしたのかもしれぬのう。

熾永 豊は自分の過ちを隠すためと、光人を人間として生きさせるために探偵部を作ったわけじゃが、この汐碕の地を魑魅魍魎から守るという役目も充分果たしておったぞよ。
熾永は学園内におる霊感の強いものを集めて、訓練していたようじゃの。そうして魔が使える生徒ができはじめ、彼らはある者は官僚へ、ある者は軍人へとなっていったのう。じゃが残念ながらあまり良い一生は送らなかったと記憶しておる。国に利用された者もおれば、逆に迫害された者もおる。子孫を残すこともなく、の。
つくづく、熾永という女は不幸な人間を作りおる。困ったものじゃ。

この辺りの話は、大正少年少女探偵奇譚として聖天翔学園の図書館に眠っておるはずじゃ。大正時代にな、この汐碕市を恐怖のどん底に陥れたという、怪人二十……おっと、また執事が呼んでおる。まったく……今日の話はここまでじゃ。

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