カテゴリー「 昼ニ照ラサレル夜 」の記事

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あけましておめでとうじゃな。
松の内は過ぎてしまったが、皆、元気にしておるか?
妾は相変わらず元気じゃ。
汐碕市はもう一面の銀世界じゃ。気温もかなり低くてのう、外は -20 度近くにもなるのじゃ。それでも標高 6000m の中では暖かい方なのじゃ。

今日はじゃな、面白いものを手に入れたので公開するぞ。それは朝日奈やすらの給与明細じゃ。まず朝日奈やすらの立場から説明するとするかのう。
彼奴は立場上は国家公務員でな、いわゆる警察官じゃ。彼奴の場合はそこから先がさらに複雑でな、外国の捜査機関に出向ということになっておる。つまりじゃな、我が汐碕市にある朝日奈やすらのバイト先は、とある外国の出先機関というわけなのじゃ。
妾が排除したいと思っているのは、そういう理由だからじゃ。
とは言ってものう、日本政府がその国に要請してできた出先機関じゃから、妾もなかなか排除できぬのじゃ。この出先機関は汐碕市以外にも北海道と東京と京都にもあるのじゃ。
朝日奈やすらは警察庁警備局公安課所属じゃな。長野県警の公安課じゃないのがまた面倒なのじゃ。困ったことに汐碕市の権力が及ばぬのじゃ。

それはともかくじゃ、給料の中身はなかなか面白いぞよ?

まず基本給じゃが、28 万円じゃ。階級は「警部補」だからして、一般の会社で言うなら主任といったところかのう。そのあとに続く手当が面白いのじゃ。通勤手当はまー普通じゃが、寒冷地手当、特地勤務手当、営外手当、魔術作業手当、潜入手当、危険作業手当という6つも変な手当があるのじゃ。
どれもいつも付いているわけではないぞよ?
寒冷地手当は汐碕市に於ける営外での任務遂行時につくのじゃ。営外というのは簡単に言えば野外のことじゃな。朝日奈やすらはいつもは光人に家におるわけじゃから、あまり付かぬが、徹夜の任務遂行などで付いたりするのじゃ。汐碕市では夏は除外されてしまうのが欠点じゃの。
特地勤務手当は戦争状態のような場所での任務遂行時につくのじゃ。基本給の 50% が付くのじゃ。
営外手当は野宿などをした場合に付く手当じゃな。汐碕市で野宿した場合は、寒冷地手当とセットになるわけじゃ。
魔術作業手当というのは魔に関わる手当じゃな。技術手当+危険手当のようなものじゃが、朝日奈やすらは自分の力で魔を使うことはできぬ。ので、魔を行使できる職員よりは安めじゃ。
潜入手当というのは危険手当の一つなのじゃが、いわゆる命に危険のあるような場所に長時間潜入する場合に付くのじゃ。犯罪組織の潜入とかそういう類のものじゃな。外国の調査機関に出向している扱い上、この手当がついているようじゃの。
最後の危険作業手当というのが、分類化されていない諸々の危険手当じゃな。ここは人事課の裁量で決まってしまうなんとも切ない部分じゃ。

というわけでこれらを合わせると朝日奈やすらは月どれくらいもらっているかというとじゃな、だいたい 48 万~ 55 万の間じゃ。警察官で言うなら警部くらいの収入じゃな。基本給は警部以下なのじゃが、手当がいろいろ付いてこの金額になっておるというわけじゃ。
学生にしてはもらっておるほうかもしれぬが、朝日奈やすらのやっていることは、他人から見たら犯罪行為じゃ。万一、世間の目に晒されれば大変なこととなろうのう。それを考えるとあまりにも安すぎる給料じゃ。それに天野家の大黒柱でもあるからのう、朝日奈やすらとしてはもうちょっと欲しいと思っておるのではないかな?


世界中で異常気象が続いておるのう。
汐碕市も耐えられぬということはないが、9 月に入っても夏並みの気温が続いておる。
皆は体調など崩しておらぬか?
これだけ暑い日が続くと、夏バテもそうとうつらそうなのじゃ。

にっくきあのやろ

おっと、そうじゃったな、前回の続きのはなしであったな。
この話は「翼をください」とその次回作両方のネタバレの話題じゃ。
賢者会議の話は前回したと思うのじゃが、その席に、なんとあの憎き稲置涼子がおったのじゃ! いけしゃぁしゃぁと椅子に座ってすましておったわ。そもそも彼奴は人間ではない。人間ではない者が賢者会議に出ること自体がおかしいのじゃ!
会議そのものがそれはそれは緊迫しておったぞ。
誰しもがあの場で彼奴を殺したいと思ったことじゃろうのう。
それほどまでに彼奴は彼奴の事情を知る人間からは憎まれておるのじゃ。じゃが残念ながら、彼奴に賛同する人間もおるのじゃ。彼奴の破壊的な精神に酔い、彼奴の渾沌の美しさに魅入られてしまったのじゃ。

それに、妾たち賢者どうしでは戦ってはならぬという協定があるのじゃ。それはな、妾たちの力は強力すぎるからじゃ。妾たちが本気で殺し合いをしたら……想像するだけでも恐ろしいのじゃ。じゃから、たとえ稲置が妾の手の届く場所にいたとしても、手を出すことは許されぬのじゃ。

しかしあろう事か、彼奴は妾に話しかけて来おったのじゃ。なんと言ったと思う? 「汐碕にいないからといって油断するな」と、妾に警告してきたのじゃ。妾は何かあると思い、汐碕市の中に、彼奴の息のかかった者がいないか探したのじゃ。
血眼になるという言葉が相応しいくらいに、じゃ。妾は必死じゃった。そしてついに、ついに見つけてしまったのじゃ、彼奴の息のかかった者がおると言うことを。いつからかそうであったのか、妾は解らぬ。解らぬが、しかし事もあろうに、其奴はあの天野光人に近い場所におるのじゃ。

二階堂、二階堂静香じゃ。彼奴は稲置涼子の息がかかっておる。しかも相変わらず光人に近い。そもそも天翔学園の生徒会と図書委員会は切っても切れぬ仲なのじゃ。図書委員会の前身は生徒会の記録(書記)・監査部門が独立してできあがったのじゃ。かつては知を管理する者として、生徒会は校内の図書に関しても占有しておったのじゃ。

あぁ、心配じゃ……光人のそばに稲置の部下がいようとは……何か胸騒ぎがするのじゃ。そしてその胸騒ぎは妾の気のせいだけではなかったのじゃ!
おっと、また執事が呼んでおる。続きはまた次回に話すことにするのじゃ。


次回作についてちょこっとだけ露出じゃ。
舞台の一つである白初(しらそめ)学園本部棟のレイアウトじゃ。

この学校は古くからメイド科があることで有名じゃな。
我が汐碕市が誇る名門校の一つじゃ。下世話な話をすると「知の聖天翔、金の白初」と言ってな、金持ちは白初の方が多いのじゃ。おっと市長がそんなこと口にするものではないな。オホン。
世界的には「翼をください」が終わったあとの世界になっておる。つまり稲置も熾永もこの街にはおらぬ。もっとも……それで安心していいかは解らぬがの。あの稲置のことじゃ、どこかで事の成り行きを見張っておるのじゃろう。まったくムカつくヤツじゃ。
聖天翔学院はと言えば、今は光人たちが生徒会役員を勤めておる。文字通り天使の学園となったわけじゃな。まぁ良い、これからが本当の試練の始まりじゃ。妾を選ぶか、稲置を選ぶか、やすらを選ぶか……それは今考えても詮無いことじゃ。

今後はネタバレとともに、続編のデータも少しずつ公開していく予定じゃ。

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